テオフィル・アレクサンドル・スタンラン
アール・ヌーヴォー期にフランスで活躍したアーティスト
Ｔ．Ａ．スタンランについて
テオフィル・アレクサンドル・スタンラン（Theophile Alexandre Steinlen, 1859-1923）は、アール・ヌーヴォー期にフランスで活躍したスイス生まれの画家および版画家です。
スタンランはスイスのローザンヌに生まれ、地元のローザンヌ大学で学びました。
その後、フランス東部のミュルーズの織物工場でデザインの職を得、20代前半まで画家として修行を積んでいましたが、フランソワーズ・ボシオン(Francois Bocion）の勧めでパリ、モンマルトルの芸術家コミュニティに移りました。
そこでスタンランはアドルフ・ウィレット（Adolphe Willette）の知遇を得て、キャバレー黒猫（ル・シャ・ノワール、Le Chat Noir）の芸術家の集まりに参加するようになりました。
それがきっかけで、スタンランはキャバレーのオーナー兼エンターテイナーのアリスティッド・ブリュアン(Aristide Bruant）や、その他の企業主からポスターの依頼を受けるようになりました。
スタンランの作品について
1890年代初期、スタンランの田園風景、花等を描いた絵が、独立美術家協会（Societe des Artistes Independants）に出展されましたが、1895年に作製したリトグラフ、『Les Chanteurs des Rues（通りの歌手たち）』は、Editions Flammarion社出版の『Chansons de Montmartre（モンマルトルの歌）』の口絵に採用されることとなりました。
この本は、ポール・デルメ（Paul Delmet）のベル・エポックの歌につけられた16の書き下ろしのリトグラフを集めたものです。
また、スタンランは生涯モンマルトルに居を定め、その郊外の風景は一生を通じてスタンランが好んだテーマとなり、この地域の厳しい生活の側面についてもいくつか描いています。
一方、スタンランがこよなく愛した猫が彼のポスターには数多く登場しますが、飼ったものにしか分からないこの動物特有のポーズがとても魅力的で、近年その人気が高まっています。
