オディロン・ルドン(Odilon Redon、1840-)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランス人画家です。
南フランスの大都市ボルドーの裕福な家庭に生まれました。
生後2日目にして里子に出され、11歳までの少年期を田舎の地(ペイル=ルバード)で、親元を離れて寂しく過ごしたといわれています。
オディロン・ルドンは、印象派の画家たちと同世代に属しますが、その作風やテーマは大きく異なっています。
光の効果を追求した印象派の画家たちに対し、ルドンはもっぱら幻想の世界を描き続けました。
象徴派の文学者らと交友をもち、象徴主義に分類されることもありますが、独自の道を歩んだ孤高の画家といえます。
不安や問題意識の現れである不確かな夢や無意識の世界に踏み込んだ作品を多く発表しました。
モノクロ版画に描かれた頭や目玉などグロテスクな感じを与えますが、一方では動物のような顔で笑う蜘蛛など、どこか愛嬌のある作品も描きました。
鮮やかな色彩を用いるようになったのは50歳を過ぎてからのことで、油彩、水彩、パステルのいずれも色彩表現に優れていますが、なかでも花瓶に挿した花を非常に鮮烈な色彩で描いた一連のパステル画が秀逸です。
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