ミニアチュール(細密画)とは、中世以前の豪華絵付き写本に収録された挿絵を指します。
初期の写本の赤色インクに鉛丹が使われていたことから、ラテン語の「minium(鉛丹)」を語源としますが、「minute(微細な)」と混同され、小さいサイズのイラストを指してミニアチュール(日本語訳:細密画)と呼ばれるようになりました。
中世のフランスとフランドル画派のミニアチュールは、当初は類似した作風を有していましたが、15世紀の半ばにはそれぞれの国ごとの特徴が目立つようになり、フランスでは、優れた作品も生み出されたものの、全体としては質が低下しました。
人物描写は不正確になり、深みがない硬質の描写を、過度の金箔装飾に頼ろうとする傾向がみられました。
一方、15世紀後半のフランドル画派は、当時の最高水準に達しており、その作品は柔らかな色使いと深みを備え、また服の襞や人物表現等において、細部に対するこだわりもさらに追求されました。
この時代、フランドルのミニアチュール作品は、色の柔らかさ・鮮やかさの表現において最も成功した例と言えます。
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