『スポーツと気晴らし』(Sports et Divertissements ) は、エリック・サティが作曲した21曲からなるピアノ小曲集です。
パリのルシアン・ヴォージュル社では、第一次世界大戦前の1913年から高級婦人雑誌を出版していました。
そこでは、高級装身具や美術・流行について紹介されており、ハイセンスなパリならではの雑誌として名を馳せました。
同誌には、当時アール・デコで有名な画家たちが繊細で優美なデザイン画を寄せており、その一人であるシャルル・マルタンの描いた風俗画集に、1曲ずつの短いピアノ曲を添えることを、ルシアン・ヴォージュル社長は企画しました。
当初それは、当時売れっ子作曲家であったストラヴィンスキーに委嘱されましたが、委嘱料の折り合いがつかず不調に終わり、そしてサティに白羽の矢が立ちました。
サティに打診された際の額は、ストラヴィンスキーの額よりも値下げされていたにもかかわらず、サティはそれがむしろ不当に高額すぎると拒絶し、自ら苦労して交渉を重ね、やっとのことで値下げしてまで委嘱を請け負ったことが伝えられています。
シャルル・マルタンの絵の構図をそのまま楽譜に写したとされる第15曲「ウォーター・シュート」や、永遠に繰り返されて終わりのない第16曲「タンゴ」、フランス童謡「月の光」が歪んで挿入される第18曲「いちゃつき」、調性も拍子もない曲などが入り混じり、彼の斬新な発想がふんだんに盛り込まれた作品集となりました。
最終的に、サティによる美しい手書き浄書と手刷り色彩版画を対にして、大戦後に限定225部が出版されました。(以上、Wikipediaを一部改編して掲載)
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