ジョン・グールド(John Gould、1804-1881)は、19世紀、博物学の黄金期に活躍したイギリスの博物学者です。
鳥類画に卓越した才能を示し、その生涯を通じて美しい鳥類図譜を数多く残しています。
鳥類の生態を学術的に調査し、その研究成果に基づき、当時発明された石版画(リトグラフ)の技法を用いて原画を起こし、更にその上に手彩色を施して生き生きと描き出しています。
『ハチドリ科鳥類図譜』は、グールドの作品の中でも最高傑作とみなされており、一目見た瞬間からその彩色のすばらしさに魅了されます。
全5巻、360枚の図版を含む大作で、1849年から10年以上の歳月をかけて出版されました。
色鮮やかなハチドリと共に様々な草花が同時に描き込まれている点は、J.J.オーデュボンの図譜に通じるものがあります。
また、ハチドリが持つ金属的な光沢をできるだけ精密に反映させるため、グールドは一計を案じ、高価な金箔をベースとして、その上に透明なオイルとニスを塗る独自の手法を編み出しました。
こうすることでハチドリの頭部や喉の金属光沢が本物そっくりに輝いて見えます。
この部分の表現にはグールドの並々ならぬこだわりが感じられます
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